アレルギー一覧表は何品目に答えているか【2026年9月版】 — 空欄が「使っていない」とは限らない
公開日: 2026-09-01
チェーン店のアレルギー一覧表を開いて、自分の品目の欄に何も書かれていなかったとき、それは「使っていない」という意味でしょうか。
そうとは限りません。その品目が、そもそもその表の対象に入っていないことがあるからです。表は会社ごとに対象範囲が違い、しかもその範囲を表自身が書いていないことがあります。この記事では、当サイトが実際に資料の列を数えた結果から、外食チェーンの一覧表が「何品目に答えているのか」を整理します。
空欄には2種類ある
一覧表の空欄は、見た目は同じでも意味が2つに分かれます。
- 調べたうえで、含まれていなかった — その品目は表の対象で、確認した結果が「なし」だった
- そもそも調べていない・答えていない — その品目は表の対象外で、空欄は情報の不在を意味する
加工食品であれば、この2つはある程度区別できます。表示義務があり、対象品目が決まっており、その範囲で書かれていないことに意味があるためです。しかし外食にはアレルギー表示の法的義務がありません(外食にアレルギー表示義務はない)。義務が無いところでは、書かれていないことは「無い」の根拠になりません。消費者庁も、外食・中食について「表示がない=含まれていない」ではないと繰り返し注意を促しています。
当サイトが表の空欄を「含まない」と「情報なし」に分けて表示しているのはこのためです(含有区分の見方)。そして、どちらなのかを決めるのがその資料の対象範囲です。
対象範囲を数えた — 334チェーンの実測
当サイトは店舗数の多い主要チェーンを中心に672チェーンを調査し、うち387チェーンで公式の開示を確認しています(全体像は開示状況まとめ)。ここでいう「主要」は店舗数の多い順で、日本の外食チェーン全体(食べログのチェーン索引で7,514チェーン)を代表する標本ではありません。
このうち、資料に並んだ品目の列を実際に数えられたのが334チェーンです。残る53チェーンは、商品名を入れて検索する形のページなど、そもそも数えられる列を持たない資料で、これは「対象が狭い」ではなく測っていないとして別に扱っています。
334チェーンの内訳は次のとおりです(2026年9月1日時点)。
| 資料が対象にしている品目数 | チェーン数 | 読み方 |
|---|---|---|
| 29品目すべて | 24 | 2026年4月改正に追いついた最新版 |
| 28品目 | 159 | 改正前の版。ピスタチオの列がない |
| 20〜27品目 | 71 | 推奨品目の一部まで |
| 10〜19品目 | 7 | 義務品目に少し足したもの |
| 9品目以下 | 73 | 義務品目だけ、またはそれ以下 |
いちばん重いのは最後の行です。73チェーン(22%)の資料は、義務表示の9品目だけ、またはそれ以下しか対象にしていません。この表を見ている限り、ごま・大豆・りんご・やまいもといった推奨品目については、書かれていないのではなく、聞かれていないということになります。
品目によって「答えてもらえる確率」が違う
同じ29品目でも、資料が対象にしている割合は品目ごとに大きく違います。
卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに・くるみの8品目は、列を数えた334チェーンのほぼ全てが対象にしています。義務表示の品目であり、資料を作るときの出発点になっているためです。
ところが同じ義務品目でも、カシューナッツは268チェーン(80%)にとどまります。カシューナッツが義務表示に移ったのは2026年4月で、容器包装された加工食品については2028年3月31日までの経過措置があります(カシューナッツが義務表示に)。外食の一覧表は制度上そもそも義務の対象外ですが、実務では加工食品の表示に合わせて作られることが多く、切り替えは同じ時間軸で進みます。裏を返すと、66チェーンの資料は、いま現在カシューナッツを対象に含んでいません。
推奨品目はさらに下がります。ごまを対象にしているのは259チェーン、マカダミアナッツは181チェーン(54%)で、木の実の中でも品目によって差があります(木の実類アレルギーと外食、ごまアレルギーと外食)。
もっとも少ないのがピスタチオで、28チェーン(8%)です。2026年4月に推奨品目へ新しく加わった品目で、経過措置もありませんが、外食の一覧表への反映はこれからという段階です。ピスタチオアレルギーの方にとっては、現時点では表を見ても答えが載っていないのが普通と考えておくのが安全です。
範囲そのものを書いていない資料もある
ここまでは「対象品目が分かる資料」の話でした。しかし、資料を読んでも対象範囲がどこにも書かれていないことがあります。当サイトが読んだ資料のうち、75本がこれに当たります。
範囲の宣言が無い資料では、表に並んでいる品目が「その会社が調べた全部」なのか「たまたま載せた一部」なのかが判断できません。この状態は、対象が狭いと分かっている資料より読みにくいとも言えます。狭いと分かっていれば、載っていない品目は店に聞けばよいと判断できますが、範囲が分からないと何を聞き足せばよいのかも決まらないからです。
表を開いたときに確かめる3つのこと
- 対象品目の宣言を探す — 「特定原材料等28品目について表示しています」のような一文が、表の冒頭か脚注にあります。品目数が書いてあれば、その表が答えている範囲が決まります
- 自分の品目の列があるかを見る — 列そのものが無ければ、その表からは何も分かりません。空欄ではなく列の不在です
- 記号の意味を脚注で確かめる — 空欄の意味を「含まない」と明記している会社もあれば、何も書かない会社もあります(一覧表の読み方)
そのうえで、列が無い品目や範囲が不明な資料については、店に直接確かめるのが確実です(お店への確認のしかた)。
AllergySearch では対象範囲もあわせて表示しています
当サイトのチェーンページでは、そのチェーンの資料が何品目を対象にしているかを開示状況として表示し、資料が触れていない品目は「含まない」ではなく情報がない状態として区別しています。チェーンを検索するところから確認できます。
数字はいずれも2026年9月1日時点で、当サイトが登録している資料を数えたものです。チェーン側の改訂や当サイトの調査の進行によって変わります。
参考資料
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療上の助言ではありません。掲載内容の正確性には努めていますが、制度や各社の公開情報は変更されることがあります。飲食の前には必ず店舗・運営会社の最新の公式情報をご確認ください。