木の実類アレルギーと外食 — くるみ・カシューナッツ・アーモンドの実践ガイド

公開日: 2026-07-23

くるみ・カシューナッツ・アーモンドなどの「木の実類(ナッツ類)」は、いまや日本の食物アレルギー原因食物の約4分の1を占めるまでに増えています(経年データは木の実類アレルギーはなぜ増えている?を参照)。木の実類がやっかいなのは、同じ「ナッツ」でも品目によって表示制度上の扱いがまったく違うことです。この記事では、品目ごとの位置づけの整理と、外食で木の実に出会いやすい場面・確認のしかたを、消費者庁の公表資料に沿ってまとめます。なお、どの品目をどこまで避けるべきかは一人ひとり異なります。必ず主治医と相談のうえで判断してください。

品目ごとに表示上の位置づけが違う

容器包装された加工食品のアレルギー表示(2026年4月改正後の29品目)では、木の実類は次の3グループに分かれます。外食にはそもそも表示義務がありませんが、チェーンのアレルゲン一覧表も多くはこの品目構成に沿って作られるため、この区分を知っておくことが実践の土台になります。

品目位置づけ(2026年7月時点)実践上の意味
くるみ、カシューナッツ義務表示(特定原材料)対象の加工食品に含まれていれば必ず表示される
アーモンド、ピスタチオ、マカダミアナッツ推奨表示(特定原材料に準ずるもの)表示は任意。表示がなくても含まれていないとは限らない
松の実、ヘーゼルナッツ、ペカン、ブラジルナッツ など29品目の対象外アレルゲン欄には出てこない。原材料名の確認や店への質問が頼り

最重要ポイントは真ん中の行です。アーモンドなどの推奨表示品目は、表示がなくても入っていないとは限りません。「アレルゲン欄にアーモンドがないから大丈夫」とは読めないのです。なお、カシューナッツが義務表示になったのは2026年4月で、2028年3月末までは旧表示の商品も流通します。改正の詳細と経過措置はカシューナッツが義務表示にで解説しています。制度の枠組み自体はアレルギー表示の基礎知識をご覧ください。

表示に頼れない木の実がある

見落とされがちなのが3つめのグループです。消費者庁のハンドブックにある表示対象品目の一覧(義務9品目+推奨20品目)を見ると、松の実・ヘーゼルナッツ・ペカン・ブラジルナッツはどこにも入っていません。EUなどでは表示対象とされている木の実ですが、日本の制度ではアレルゲンとしての表示義務も推奨もない品目です。

一方で、症例がないわけではありません。令和5年の全国モニタリング調査では、木の実類の内訳としてペカンナッツ35例、ヘーゼルナッツ27例、松の実3例などが報告されています。ジェノベーゼソースの松の実、チョコレートや焼き菓子のヘーゼルナッツのように料理に溶け込む使われ方が多いだけに、これらに反応する方は「アレルゲン欄に出ない品目だ」と意識して、原材料名を通して読むか、店に直接確認する必要があります。

交差反応 — ペアで注意したい品目

木の実どうしには、構造が似ているため一方に反応する人がもう一方にも反応しやすい組み合わせがあります。モニタリング調査の報告書は、くるみとペカンナッツ、カシューナッツとピスタチオにはそれぞれ強い交差抗原性があることを挙げており、ハンドブックも、くるみ義務表示の解説の中でペカンを使う食品には注意喚起表示が望ましいとしています(あくまで任意です)。

つまり「くるみに反応する人はペカンにも」「カシューナッツに反応する人はピスタチオにも」注意が必要になる場合があるのですが、上の表のとおり、ペカンは表示対象外、ピスタチオは推奨表示と、ペアの片割れほど表示に出にくい構図になっています。自分がどの品目まで避けるべきかは、検査結果を踏まえた主治医の判断を仰いでください。

表記のクセ — 「クルミ」「マカデミア」も対象

加工食品の原材料名では、ハンドブックが認める代替表記・拡大表記で書かれることがあります。くるみは「クルミ」のほか「くるみパン」「くるみケーキ」のような表記でも含む旨の括弧が省略されることがあり、くるみオイル・くるみバターも対象です。アーモンドは「アーモンドオイル」が拡大表記の例で、アーモンドミルクも対象。ピスタチオは「ピスタチオナッツ」、マカダミアナッツは「マカデミアナッツ」という表記ゆれが代替表記として認められています。カシューナッツには代替表記・拡大表記が挙げられておらず、基本的にそのままの名前で書かれます。ラベルの読み方の全体像は加工食品のアレルギー表示の読み方にまとめています。

外食で木の実に出会いやすい場面

以下は一般的な調理知識に基づく例で、実際に使われているかは店やレシピによって異なります。気になるメニューは店に確認するのが確実です。

  • 洋菓子・ベーカリー: アーモンドプードル(粉末)入りの焼き菓子やマカロン、ヘーゼルナッツのプラリネやチョコレート、くるみパンなど。粉末やペーストは見た目では分かりません。
  • ソース・ペースト: ジェノベーゼソースの松の実、エスニック料理のナッツ入りソース、カレーのコクづけなど、すりつぶされて使われる場面です。
  • サラダ・トッピング: 砕いたアーモンドやくるみのトッピング、ナッツ入りドレッシング。「抜いてもらえるか」を聞きやすい場面でもあります。
  • ナッツオイル: くるみオイルなどが仕上げやドレッシングに使われることがあります。
  • 中華・アジア料理: 鶏肉とカシューナッツの炒め物のようにナッツが主役の料理のほか、和え衣や飾りに使われることもあります。

実践 — 「ナッツ」という括りに頼らない

チェーンのアレルゲン一覧表を使うときは、木の実がクルミ・カシューナッツ・アーモンドなど品目ごとに分かれている表か、「木の実」とひとまとめの表かをまず確認し、自分の品目の列を一つずつ見るのが基本です(読み方のコツはアレルゲン一覧表の読み方へ)。店頭で口頭確認するときも「ナッツは入っていますか」ではなく品目名で聞きましょう。日常会話の「ナッツ」は落花生(ピーナッツ)を含みがちですが、落花生は豆の仲間で、表示制度でも木の実類とは別品目です(落花生アレルギーと外食で扱っています)。「ナッツ不使用」という言葉だけでは、どの品目まで指すのか分かりません。聞き方の具体例は飲食店への確認のしかた、調理過程での意図しない混入はコンタミネーションの基礎知識を参考にしてください。当サイトのチェーン検索でも、くるみやカシューナッツなど品目単位でメニューを絞り込めます。

本記事の制度の記述は記載時点(2026年7月)の公表資料に基づきます。反応する品目や避けるべき範囲は人によって異なるため、食べてよいものは必ず主治医と相談して決め、外食時は最終的にお店への確認を併用してください。同じ品目別シリーズの卵アレルギーと外食乳アレルギーと外食小麦アレルギーと外食もあわせてご覧ください。

参考資料

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療上の助言ではありません。掲載内容の正確性には努めていますが、制度や各社の公開情報は変更されることがあります。飲食の前には必ず店舗・運営会社の最新の公式情報をご確認ください。

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