食物アレルギー表示制度の基礎知識 — 特定原材料等29品目とは

公開日: 2026-07-22

食物アレルギーのある方やそのご家族にとって、食品の「アレルギー表示」は毎日の食の安全を支える大切な情報です。日本の表示制度は、食品表示法に基づく食品表示基準で定められた「義務表示」と、消費者庁の通知による「推奨表示」の2階建てになっており、2026年4月1日の改正で対象は合計29品目になりました。この記事では、制度の基本的な仕組みを消費者庁の公表資料に沿って整理します。

義務表示の「特定原材料」9品目

発症数や症状の重さの観点から表示の必要性が特に高いとされた品目は「特定原材料」と呼ばれ、食品表示基準によって、これを含む容器包装された加工食品への表示が義務付けられています。2026年4月1日の食品表示基準改正でカシューナッツが加わり、次の9品目になりました。

区分品目
特定原材料(義務表示・9品目)卵、乳、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かに、くるみ、カシューナッツ

この制度は2001年に義務5品目(卵・乳・小麦・そば・落花生)で始まり、その後の全国的な実態調査の結果を踏まえて、えび・かに(2008年)、くるみ(2023年)、カシューナッツ(2026年)と段階的に拡大されてきました。カシューナッツ義務化の経緯はカシューナッツ義務表示化を詳しく解説した記事もあわせてご覧ください。

推奨表示の「特定原材料に準ずるもの」20品目

症例が継続して相当数みられるものの、特定原材料ほどではない品目は「特定原材料に準ずるもの」として、消費者庁の通知により表示が推奨されています。2026年4月1日にピスタチオが新たに加わり(同時にカシューナッツが義務側へ移行)、次の20品目になりました。

区分品目
特定原材料に準ずるもの(推奨表示・20品目)アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

特定原材料9品目と合わせて、表示制度の対象は計29品目です。

義務と推奨では法的な意味が大きく違う

ここが当事者にとって最も重要なポイントです。

  • 特定原材料(義務): 食品表示基準という法令上のルールで表示が義務付けられており、対象食品に含まれていれば必ず表示されます。
  • 特定原材料に準ずるもの(推奨): 通知に基づく任意の表示です。多くの事業者が表示していますが、表示されていなくても、その品目が含まれていないとは限りません

たとえば大豆やごま、りんごなどにアレルギーがある場合、「表示がない=入っていない」とは判断できないため、製造者への確認が安全側の行動になります。表示の読み方の実践的なコツはアレルゲン一覧表の読み方で解説しています。

2026年4月1日改正のポイントと経過措置

今回の改正の要点は次の2つです。

  1. カシューナッツが推奨から義務(特定原材料)へ移行
  2. ピスタチオが推奨(特定原材料に準ずるもの)に新規追加

カシューナッツの義務化には2年間の経過措置期間が設けられており、この間(2028年3月末まで)は改正前の基準で表示された商品も流通しえます。つまり当面は、店頭に新旧の表示が混在します。消費者庁は事業者に対し、可能な限り速やかな切り替えを求めていますが、私たち消費者の側も「この商品はいつの基準で表示されているか」を意識しておくと安心です。なお、カシューナッツとピスタチオには交差反応性が知られており、消費者庁の通知でもこの点を踏まえた対応が事業者に求められています(個々の方がどう対応すべきかは、必ず主治医にご相談ください)。

制度の対象は「容器包装された加工食品」— 外食は対象外

見落とされがちですが、この表示義務の対象は容器包装された加工食品と添加物です。消費者庁のハンドブックでは、次のようなものは表示義務の対象外とされています。

  • 容器包装に入れずに販売される食品(ばら売り・量り売りなど)
  • 飲食店で提供される食品(外食)や出前
  • 酒類

つまり、レストランのメニューやアレルゲン一覧表は法律上の義務ではなく、各社の自主的な取り組みとして提供されているものです。消費者庁も外食・中食での情報提供の推進を後押ししていますが、書式や精度は店ごとに異なります。この点は外食を利用するうえでとても重要なので、詳しくは外食にアレルギー表示義務はない?制度の適用範囲で解説しています。

まとめ — 確認の習慣とあわせて活用を

  • 義務表示は9品目、推奨表示は20品目、計29品目(2026年4月1日以降)
  • 推奨20品目は表示されないことがある
  • 対象は容器包装された加工食品で、外食は制度の対象外(各社の自主的な情報提供)
  • カシューナッツの経過措置により、当面は新旧表示が混在

制度は実態調査を踏まえて数年おきに見直されており、品目構成は今後も変わる可能性があります。最新の情報は消費者庁の公式ページで確認し、個別の商品や料理については製造者・店舗への確認を習慣にしてください。外食先のチェーンがどんなアレルゲン情報を公開しているかは、チェーン検索から調べられます。

参考資料

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療上の助言ではありません。掲載内容の正確性には努めていますが、制度や各社の公開情報は変更されることがあります。飲食の前には必ず店舗・運営会社の最新の公式情報をご確認ください。

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